本当のこととか嘘だとか

 
 本当のことが知りたいと思う。あれこれ想像をたくましくして勝手に苦しくなって、それがいつまでも続くのなら、いっそ真実に殺されてしまいたい。しかし残念なことに、何が本当なのかを確かめる術を持たない。
 などという考えがここ数ヶ月頭から離れなくて、もうどうでもいいやと思っても、そこから一歩も動けないでいる。本当も嘘も実は取るに足らないことだと思えばいいのか、そうしたら少しは楽になれるのか。
 「真実に殺されてしまいたい」などと簡単に書いたけれど、実際その真実があまりにも残酷であったなら、どうしようもなく苦しむのだろうと思うし、知らなければよかったと思ってしまうかもしれない。「死にたい」「いつ死んでもいい」が口癖だった男がいざ本当に死にかけた夜、薄暗い部屋の中で「死にたくない」と呻き続けるのを目の前で見ていたことがあった。アホが、と思いつつ背中をさすっていたけれど、きっとわたしも似たようなものだ。
 悲しいことが終わらないから、また何か書いてみようかと思いついた。所詮は思いつきだ。続くかなんてわからないし、くだらないことしか書けない。おまけにまた書き始めたことに気付く人など誰もいないだろう。それでも、書いてみたいと思った。
 何が本当で何が嘘なのかなんて自分以外の他者にはどうでもいいことだし、きっと誰にも確かめる術はないのだ。嘘を書くつもりはないけれど。
 書きたいことだけを書きたい。書いたら消したくない。
 わたしの言葉など何の意味もない。異議申し立てはことごとく却下され続け、そんなことはないと言われても、やはり声は誰にも届くことがないのだと思う。仕方ないよねと思う一方、これはとても悲しいことであるとも思う。
 誰かが見つけてくれたらいい。