また元のところに戻ってきたのだ、とぼんやり思いながら歩いていた。あまりにも何かに頼りすぎている。何にも頼らずに生きていくことは難しい。そんなこと誰にもできないのかもしれない。わからない。わからないけれど。頼るものが少なければ、その数少ないものへの依存度はどうしても高くなる。きっとそういうことだ。
 受信トレイも送信済みトレイもごみ箱も全部空にした。「いつもそばにいるから」と書かれたメールは、相手のためにそばにいるということを告げるものではなく、その人自身の欲求を表しているに過ぎない。そのことに差出人は気づいていない。