だいじょばない

 
 ひとりで大丈夫かと聞かれた。誰かに一緒にいてもらうという発想がこれっぽっちもなかったので、ひどく驚いた。
 誰かに言われてはじめてその存在に気づく自分の感情がある。強さとか弱さといった類のものではなく、その種類の感情を自覚できなかったという、それだけの話だ。そういった感情を溜め込むのは多少なりとも危険が伴うのだろうか。知らなければ平気なのだろうか。
 大丈夫ですよと答える。もし平気ではなかったとしても、大丈夫だと私は言うのだろうし、その通りに受け取られるのだろう。