5月の果て

 
 それができたらこんなに悩んだりしないですよ、と答えながら、実はさして悩んではいないことを再確認する。もしかしたら悩んでなどいないと思い込みたいだけなのかもしれない。でもどちらでもいい。同じことだ。
 今年の5月は何故かとても長くて、未だに終わらない。一体いつまで続くんだろう。心配せずともそのうち終わる。ほらその証拠に紫陽花が咲き始めたではないか。小高い丘のベンチに座り、途切れた会話の隙間でそんなことを考えていた。どんなこともいつかは終わる。ただ何もせずに終わりが来るのを待つだけなんてつまらない。少しくらい自分の思うとおりになったっていいじゃない。何もかもがうまくいかなくて、結局他者にふりまわされっぱなしだから。でもどんなふうになればいいかと問われても、叶わないことばかり。どうすればいいかわからないと繰り返すだけで進歩がない。
 なみちゃんは真面目だから、と言われても黙っていた。そうじゃない。面倒に巻き込まれるのはもうたくさん、それだけです。