これが最善であると判断して同じ方向に二つのことを選択をした。間違ってはいないはずだ。これでいい。これが最善であると判断したのだ。
 ある集まりに出席しなければならなくて、仕事のあとで出かけた。何人かの知り合いと話をして、初めて会う人たちによろしくお願いしますと挨拶をした。2時間ほどの時間があっという間に過ぎた。帰り道、薄暗く長い坂道を歩きながら考えたことがある。こんなふうにたくさんの人に混じって、誰とも関わらないという選択もある。こんなふうにどんどん自分を薄めて、消えてなくなってしまえばいい。可能だろうか。わからない。わからないけれど、たぶんこんな線の引き方もあるのだ。
 
 これが最善であると判断して同じ方向に二つのことを選択をした。間違ってはいないはずだ。これでいい。ほかにどうすればよかったのか。明らかに間違ってはいるけれど、流されていくことも可能ではあった。でもやはりよくないと判断して、同じ方向に二つの決断をした。とてもつらくて悲しい。耐えられるだろうか。でもよく考えたら、少し前の状態に戻るだけの話だ。私は今までこうやって生きてきたではないか。
 そんなことをしたらもっとつらくなると彼らは言った。そうかもしれない。でもそれもしばらくの間だけですよ。古い歌を歌って自分に言い聞かせる。ごめんね、だけどいつの日かみんな忘れるはず。