言い分なら、私にもあるようにきっとそれぞれにもあって、できることなら理解してもらいたいと思っている、というか、理解しろよと思っている。黙っていられたらわからないよ。でも理解してもらいたいと思っている、というか、それくらい理解しろと思っている。私も。
 とても悲しい夢を見た。ああ、と思った瞬間に目が覚めた。メールを書こうと携帯電話を握りしめたまま眠っていた。自分で出口を塞いだ今、誰に何を言えるというのだろう。
 夢の中で最後に見たのは、どこかの薄暗い駐車場で、息をひそめて隠れている私を探す人の姿だった。左の手のひらにのせた気持ちは、すこしずつ凍りついていった。それは群青色をした透明なゼリーみたいな物体だった。左手にそんな物体をのせたまま、私はここにいるよと言えずに、ただ困惑する人の姿を車の陰から見つめていた。